今、バクにいきます。(7)/ 広島市安佐動物公園 #獏部



[これまでのあらすじ]
昼ビールを決め、すっかりへべれけになったキリエはマレーバクのクニオくんをながめながら、モレスキンを書き、そしてバク舎から離れたのであった。





想像通り、きつい日差しの中のよっぱらいはなかなか厳しかった。
ライオンもトラも眺めながら、「西園」という山の上のちょっと離れたエリアにも行った。

そこには大きな角を持つ生き物がいた。
まるでシシ神様みたいだ。
思わず、張り詰めた弓をなんとか歌い上げてしまいたくなる、神秘的な生き物だった。




この生き物は「シフゾウ」といった。
ゾウさんの仲間ではない。
看板によると、「ひづめがウシ、角はシカ、頭はウマで体はロバに似ているけど、そのどれとも似ていない」ことから「四不像(しふぞう)」という名前が中国でつけられたそうだ。

そして、このシフゾウは絶滅している。

自然界では絶滅したが、ヨーロッパの動物園で生き残っており、それを繁殖させたのだと看板にあった。


私の中でもやもやしたものが、少しだけ氷解した。

動物園の意味やマレーバクが動物園にいる意味の何か小さな小さな欠片を掴んだような気がした。
が、生憎、酔っていて冷静になって考えることができなかった。



クニオくんも自然界では絶滅の危機にあるバクだ。
悲しいことに絶滅してしまっても、世界の動物園にバクがいればその先に希望がつながるかもしれない。





そんなことをぼんやり思いながら、残り少しのルートを回り、私はまたバスに乗って帰宅の途についた。






「マレーバクに会いにいったんだよー!」と呑気に報告するつもりだったが、いざブログを書こうとしても心が重く、なかなか取り掛かれなかった。

そしてようやくその気になって、PCで写真を整理した。

そのときになって、私はクニオくんの病気のことを知った。
だって動物園では目の前にクニオくんがいるんだもん。
生クニオを見なくちゃどうするの!
看板は写真に撮って、あとあとー!
ちなみに美術館などでも説明文はぶっ飛ばすこと多し。


クニオくんは自然には治らない病気だった。
そして前例がないため、どんなふうに対応していけばいいのか、見当もつかないらしい。



それを知ったあと、クニオくんの写真を見た私は、やっぱり心の中で
「クニオくーーーーーーーーーーーーん!
クニオくんっ、
クニオくんっ、
クニオくーーーーーーーーーーーーーん!!!」
と叫ぶしかなかった。


病気は恐ろしい。
江戸時代、風邪は命を奪うほどの恐ろしい病気だった。

ヒトは医学を進歩させた。
しかし動物にはそれがない。


もしかしたら、クニオくんが自然界で生まれていたら、ここまで成長することなく、すでに死んでいたかもしれない。
動物園にいたからこそ、病気について調べてもらえた。
もし、なにかが悪化しても動物園でできる限りの手厚いお世話をしてもらえると思う。



一匹でぽつんとそこにいる動物と、病気やけがの心配と比べることはできないのだけれど、私の中でちょっぴり希望が見えた気がした。






***
これで、キリエの長い獏部のエア部活のバクレポは終わりとなる。

まさかこんなに揺さぶられることになるとは、思いもよらなかった。

ちなみに、バク好きが集まるサイト「獏園」にこの記事のシリーズは掲載されると思われるが、いまだにそんなサイトは存在しない。
きっと獏愛がバクハツしているサイトになると思う。

勝手にそのコンテンツを想像してみた。

  • 街で見かけたバクグッズ
  • バクの足跡スタンプの作り方
  • 獏ノート
  • 熱帯多雨林の仕組み
  • あなたのバク、見せてください
  • バクの飼育員さんインタビュー
  • 今、バクにいきます。(動物園レポート)
  • バクに恋に落ちた瞬間はいつ?
  • 文学におけるバク
  • バクの絵かき歌
  • 動画「獏園」
  • バク小説(創作投稿)

などなど。

人んちの活動なのに、いろいろ妄想すると楽しい。







動物園からの帰りのバスに揺られ、私は「次に動物園に来るのはいつかなぁ。つらいなぁ」と思っていた。
しかし、バクレポを書いているうちに少し変わってきた。

またクニオくんに会いに行こうと思う。

冒頭の写真は「木漏れ日の中のクニオくん」。

そしてこの写真は「木漏れ日の中のクニオくんの足跡」。






私がモレスキンを書き、さよならしたときのクニオくん。
また、会いにいくからね。






(おしまい)




■バクレポシリーズ(全7回)




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