今、バクにいきます。(2)/ 広島市安佐動物公園 #獏部


[前回までのあらすじ]
勝手にエア部活をする、と決めた私は獏部のバクレポのため、動物園を目指した。



順路通りに歩いていた。

みんなよく知る、キリンにもシマウマにもゾウにも出会った。
しかし、私の心はどんどん重くなっていった。

閑散とした、平日の午前の動物園。
ひとりでうろつく私。

なんでここにいるんだろう。

動物を見るのがつらくなった。

ゾウを見ると「かわいそうなぞう」のお話をつい、思い出してしまう。
戦争がひどくなり、空襲で動物園が攻撃され、動物が逃げ出し人を襲ってはいけない、と動物を処分する決定がくだされる。
ゾウもその対象になるが、毒入りじゃがいもは食べなかった。
皮膚が硬く、注射もできなかった。
最後に取られたのは、餓死だった。
エサをもらおうと必死で芸をするゾウ。
しかしエサを与えることももらうこともできず、ゾウは死んでしまう。
タライくらいの大きな胃はからっぽでした。

うおんうおんうおん!!!

私の心は泣きっぱなしである。






そんな中、はちゅうるい館に入る。
爬虫類や夜行性動物がいる建物だ。
昭和の香りのするレトロな建物で、中は……赤いライトで照らされていた。

いやあああああああっ!!!

ヘビもコウモリも苦手じゃない。
野生のものと対峙したら苦手だけど、動物園で見るのは苦手じゃない。

がっ!

このたびは!

ひとりで!

この「廃墟探検」みたいなのは、いやあああああああ!!!!


ホラーはキライ!
廃墟もキライ!
お化け屋敷もキライ!!


ヤマネもモモンガもかわいかったよ。

しかし。
この暗くて赤いところ、いやああああああ!!!





そして、つきあたりには上り階段しかなく。

そこは…
止められていた……


ど、どうしよう。

逃げ場がない。
後戻りするのもいやだ。



と、本当に軽く貧血になるくらい、怖くて怖くて仕方なかった。

ちなみに階段は閉鎖されているのではなく、雨漏りのためバケツなどが置かれていた。




とにかく、へろへろになった。







マレーバクさんまで、あともうちょっとなのに、なんの苦行なのかしら。

これまでは入場者が多く、私も友達などと来ていたため、わいわいとはちゅうるい館に入っていたので、こんなに怖い思いをすることはなかったことを書いておく。




私の気持ちが低下していった理由は、「動物園の意味」であった。
檻や柵、分厚い強化プラスティックの向こうにいる動物は、どんな気持ちなんだろう。
生きている、と感じているのだろうか。
それとも感情なんてないのかな。
守られてはいるけれど、狭い中に閉じ込められているとは感じるのだろうか。

自分がひどく拘束や束縛を嫌うので(これで恋人とこじれること多数)、どうなんだろう、と思う。

そしてマレーバクの一つ前、フタコブラクダを見たときにはつらくてつらくてたまらなくなってしまった。

そんな気持ちで見ているせいか、フタコブラクダの目は虚ろで、一頭だけが、ラクダエリアに座っていた。
毛の生え替わりのときなのか、ぼさぼさでエサか寝床かでつけてきたのか、短い枯れ草のようなものがまとわりつき、ちっとも幸せそうに見えなかった。


どうしてここにいるのだろう。

長生きできないかもしれないけど、滅びるかもしれないけど、必死で生き抜くほうがいいのか。
それとも動物園にいるほうがいいのか。



次にマレーバクに会えるのに、私の気持ちはちっとも浮かれることがなかった。





(つづく)




■バクレポシリーズ(全7回)





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