ブローチ / 尊厳の芸術展



どうです、かわいいブローチでしょう?
デザインも素敵で、小さくてかわいらしくて。
貝殻やビーズで作られています。

一つ一つは小さなものでしたが、本当にかわいらしくてずっと見ていたい感じでした。

ほんわりとした気持ちを打ち砕いたのは、会場で流していたドキュメント映像でした。

強制収容所に入れられていた母親を持つ女性のお話から始まっていました。
彼女のお母さんは素敵なブローチを持っていましたが、それを大切にしまってはいたけれど、身に着けようとはしなかったんじゃなかったのかな。
尋ねてみても、答えは返ってきませんでした。

お母さんの死後、女性は母親が収容されていた施設を訪れます。
そこには海はありませんでした。

では白い小さな貝殻のブローチはどうやって作られたのか。
収容所の敷地内の土の中に貝殻がある場所がありました。
そこからきれいな小さな貝殻を探し出しては集め、それを使って作られたものだったのです。

女性は泣いていました。

私も泣いていました。


ただ「かわいい」だけじゃない。
必死の思いで、作られたブローチ。





木彫りのブローチもかわいいでしょう。


娯楽もお楽しみもお洒落も、どんな時だって必要です。
大切なことなんです。
それを奪われるのは、なんともつらいこと。

「命があればいい」とも言いますが、命があったら次には「人として豊かに生きていきたい」。
それは金銭的なことだけではなく、日常生活を送ることだって豊かに生きることなのです。
お茶を飲んだり、おしゃべりしたり、恋をしたり、お洒落をしたり、ゲームをしたり、いろいろいろいろ。




***

これで、私が撮った「尊厳の芸術展」の写真は終わりです。
全ての作品は撮影可能だったのに、なぜこれだけしか写真を撮らなかったのか、ちょっぴり悔やんでいます。
しかし書籍も出ているので、そちらを見ることもできるでしょう。


つらいこともたくさんありますが、その中で「どうやってたくましく、豊かに生きられるのか」を考え、感じ、「自分を守る」ことも含め生き延びることができたらいいなぁ、と思います。




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