boyish



4月1日、たまらずマリオの美容院に駆け込む。
突撃予約。
1時間半後、私は鏡の前の椅子に座り、いつものように
「それで、どんな気分です?」
とマリオの問いを聞いていた。



大体、私は1か月半~2か月くらいで髪を切る。
もっさりして、癖の強い髪が自分ではどうにもならなくなるタイミング。
しかし、今回は予期しなかったことが満載で、例年にない年度末を迎え、へろへろ。
髪を切りに行く元気がなく放置していたが、もう辛抱たまらん!と冒頭に続く。

今回は一つ、野望を胸に秘めていた。
この自分でもどうしようもない癖のある髪を、なだめすかしたり矯正するわけでもなく整えていくマリオは、私の左のサイドの髪の一房だけを顎までの長さで残していた。
他はショートなので、とても目立つし、アクセントになるし、放っておいても縦ロールに勝手に巻き巻きするその髪を、マリオは私以上に気に入っていた。

これを私は触角と呼んでいた。
初期は4本あったが、最後はこの左のものだけになった。

前回、マリオはこの触角を切ろうとして止めた。
そのとき、私は思った。
「じゃあ、次は切ろう。そう提案しよう」
これが私の野望。

もう何年もあった最後の触角であり、私のトレードマークでもあったその髪を切るのに、私は全然抵抗はなかった。
むしろ、マリオのほうが思い入れがあるようだった。
しかし、何度か切ろうとしていたことも知っている。

私はなんとなく、「やりたいけれどあとちょっとのところで踏ん切りがつかないんだけど」という人を見ると(内容も考えるけど)、えい!と背中を押したくなる。
今回もそんな感じだった。


いざ、本当に切るとなると、マリオはちょっと戸惑ったようだった。
「本当に切りますよ」
と、わざわざ聞いてきた。
「はい。必要ならまた育てたらいいんですよ。手放して得られる『他の可能性』があるなら、そっちを選びます」
と言った。

髪を切るのもテツガクなのね。


こうして、ばりばり切りたいマリオに他は任せていたらショートになり、
触角がちょっと女性らしさを醸し出していたけれどそれもなくなり、
すっかり少年のようになってしまった。
男顔が引き立つ。

髪型はいつものようにアシンメトリーで、マリオに出した「従順そうに見えて実は自分を曲げない髪型」という無茶ぶりも、右にとっても短い触角を作ってみた!と面白そうに言っていた。

小粋な感じになって(種類としては星野源さんのような雰囲気の髪)、まるで音楽か絵をやっている人っぽく見える。
が、実際はそんなセンスはない。


以前、髪をとても短くしたとき、自分の中の女性性がすっかり薄れてしまってとても寂しかった。
今回はなんだかユニセックスな感じを楽しんでいる。
「私らしさ」は存分に出ているかな。

女の子でもいたいし、春ぴんくで浮かれたいけれどシャープな線を引いた感じ。

こんな私を誰かに見せに行きたい。




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