いっしょにいて / ことばを呑み込んでできたバケモノ



いっしょにいて。
そばにいて。



言っちゃいけないことばになっていた。
言っちゃいけないことばだと思っていた。


小さい頃、不安で怖くていっしょにいてほしくて、そばにいてほしくてそんなことを大人に言ったけど、
私より小さい人がいたから、
「お姉ちゃんでしょ」
「手はつなげないの」
「ひとりでやりなさい」
と言われ、言ってもどうしようもないし、受け入れられないし、言ったら迷惑になるんだし、大人は困るし、言っちゃいけないんだ。
とわかって、言いたくても言えなくなった。

「言ってもどうにもしてくれないんでしょ」
「そっちが大切なんでしょ」
「あたしがオトナになったほうが都合がいいんでしょ」
と思ってた。



恋人ができても、ことごとく遠距離になり、
「寂しい」
「会いたい」
「いっしょにいたい」
「そばにいてほしい」
というのも、言えなくなっていった。

お互いの仕事やプライベートの事情でそう簡単には会えないのはわかっているし、
物理的にもどうやってもどうにもできないし、
駄々をこねて相手を困らせたくなかったし、
相手に余裕がなくて、これで嫌われるのが怖かったし、
できるだけ心配をかけないイイ子でいたかったし、
逆に駄々をこねられたら私も困るからやめとこう、と思ったし。

だから、極力言わなかったし言えなかった。



いつも呑み込んでいたことば
いまも呑み込んでいることば


まさか自分が弱っているときに、この蓄積したことばからの逆襲に遭うとは思っていなかった。

あのとき、きちんと言わずにいたことばが成仏できずに私の中で自分に襲い掛かる。


小さな私や、まだ浅はかだった私は必死に、
「じゃあ、どうすればよかったの?!
言っていたら、なにかが変わっていたの?」
を叫んで威嚇する。



どうしようもないことはわかっている。

多分、ひどく衰弱していて、弱気になっている。
誰かに甘えたくて、甘える人がいなくて、かつての同じような思いをしたことを思い出しているんだ。




あと、結婚していないこと、子どもを持っていないことでとやかく言われるのがめんどくさい。

説明する気もないし、きっとこっちの言うことは聞かないし、要するに自分が「年長のいいアドバイスをするご意見番でいたい欲」を満たしたいだけだし。

本当は大嫌い。
子どもの写真のついた年賀状とか、
結婚、出産のお知らせとか。

全然、会っていないし、ほぼ音信不通だし、特に連絡を取りたいとお互いに思っていないし。

私の中の劣等感を刺激するし、大概、
「次はあなたよ。結婚って幸せ。あなたにも幸せになってほしい」
といったメッセージがついている。

今の私が幸せじゃないみたいじゃん。



ただ、一生懸命やってきた友達がいろいろがんばって恋愛したり、結婚したり、出産したりするのはそばで見ていて応援したい。

年賀状だけの付き合い、ってあんまりつながっている感が持てない。




次に恋愛するなら、遠距離じゃないのがいいなぁ。
結構会えるのがいいなぁ。
お互いに向き合えるのがいいなぁ。

遠距離恋愛やっていると、滅多に会えないから言いたいことがあっても、
「今ここで言って、雰囲気や気分が壊れて嫌な空気になるのが怖い」
と思って、言いたいことを呑み込んでしまう癖がついちゃうよ。


素直に
「会いたい」って言いたい。
「そばにいて」って言いたい。

もうことばをたくさん呑み込んでできたバケモノを自分の中で飼っていたくない。



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