PLASE.STOREで再会したリングノートのはなし




まさか、こんなところで再会するとは思ってもみなかった。


福岡の小さな文房具店PLASE.STOREで、
黄色い表紙のスペインのリングノートを見た。

中は赤、青、緑、黄の4色の方眼。

私の気持ちは一気にカミーノ(スペイン巡礼)とスイスに持っていかれた。




そのノートはタルが使っていた。

1日1ページに、カミーノでの日誌として、独特のクセのあるドイツ語で書かれていた。


タルはスイス人で、彼と私はカミーノで出会った。
その出会いは彼から聞くと「ミラクルの連続」だったらしい。
私はそんなドラマがあったことは後から聞いて知ったくらいだったけど。

それでも、二人の間に漂う空気は、とても特別なものだった。


私がカミーノを歩き終えたあと、
友達と2人でタルのもとを訪ねた。

友達はまだ旅の続きだったので、
私より先に再び旅立っていった。

私はヨーロッパを離れるぎりぎりまでスイスのタルのもとで過ごした。


離れるのが嫌で、
なんとかしてつながりを持ちたくて、
私は彼が使っていたリングノートのことを聞いた。

近くの大きめなスーパーマーケットで買った、
と聞いて、私もそこへ歩いていき、
おそろいのリングノートを買った。



帰国して、
しばらくすると、日々思ったことを書くノートブックを使いきったので、
私はそのリングノートをおろして、使い始めた。




結局、国境やなんやらかんやらの問題の壁は高く、
私たちは恋人であることを止めた。




日本では、もう、
そのリングノートに出会うことはない、
と思っていた。

だから、不意打ちのように私の目の前に現れたリングノートに
意識をぐいっと持って行かれた。



タルとはごくたまにメールでやりとりしていて、
私がリングノートを目の前にしている頃、
何度目かのカミーノを彼は歩いていた。

今回はどんなノートブックを持っていっているのか。
はたまた、もうノートブックも持っていかなかったのか、
私は知らない。




PLASE.STOREで、最後の最後まで、
そのリングノートを買おうかどうしようか、
迷いに迷った。


そして、私は買わなかった。



まだ使っていないモレスキンが1冊あるし、
次に使ってみたいのはMDノートだから。



PLASE.STOREの人間の店長さんのInstagramでこのノートの写真がアップされたときには
ぐっときた。

「やっぱり買っておけばよかったかしら?」




でも、そのとき買わない、と選択した自分の道を歩くことにした。

必要ならばまた、私の目の前に現れるはず。









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