あたしは脾臓の虫に会いに九州国立博物館まで来たの




脾臓の虫。

写真の赤いヤツ。

奥のミュージアムショップの上にも載っているかわいいヤツ。



今から4年前、九州国立博物館に行ったのですが、
少々トラブルがあり、入館時間が過ぎたため、
中に入れずじまいでした。

エントランスにある大人も楽しめる子ども向けコーナー「あじっぱ」で遊んだあと、
ミュージアムショップに行き、
脾臓の虫と会いました。


脾臓の虫は、
戦国時代の「針聞書」という医学書の巻物の中に登場します。

身体の具合が悪い、病気になった、というときには、
身体の中で虫が暴れているのだ、
という考えから、
虫の名前と姿が描かれ、対処法も記されているそうです。



そのちょっとこわいけどコミカルな姿にシビれ、
私はそのとき、
脾臓の虫1の図柄のTシャツと
脾臓の虫3のマスコット人形を買ったのでした。
(脾臓の虫は3種類描かれている)



そのとき、私はすごく悔しい思いを抱きました。
せっかくここまで来たのに、
本物の巻物を見ずに博物館を去らなければならないのが、とても悔しかったのです。

なので、私は随分前から、
「脾臓の虫を連れて、本物の巻物の脾臓の虫に会いに行くんだ!」
ということを野望リストのそっと何度も書き込んでいました。





山道の冒険から、
60分以上並んでの肉形石を経て
ようやく所蔵展会場に到着しました。

実のところ、結構ぐったりしていましたが、
いやいやここからが本番です。

私は逸る心を抑えながら、会場に入りました。





博多では、板付遺跡や防塁を見て回ったことがあります。

大陸との関係を色濃く残すこの地の「国立」博物館。

縄文や弥生の素晴らしいコレクションが目白押し。

土偶や埴輪、素敵な縄文の火焔土器など、これまで見たものは本物がちょっぴりで、
あとは大体レプリカ、ということが多かったのですが、
ここでは本物ばかり。

いや、本当にすごい。

それも展示数のかなりあります。


うををををを!

ここで弥生時代、ここで古墳時代だとすると、
私が目指す戦国時代までにはどれだけ時間をかければいいの?



私はたまらなくなって、先に脾臓の虫に会いに行くことにしました。


展示室は歴史の流れに沿ってしつらえてあります。

私は会場案内図を探して、じっくり見ました。




あれ?




戦国時代がありません。

すぽっと江戸時代に入ります。



私は何度も何度も見ました。

お部屋もそのあたりに行ってみました。


しかし、脾臓の虫はいないのです。




私はようやく学芸員の方に、
かばんについた脾臓の虫を見せて、
「ひ、脾臓の虫の巻物はどこに展示されていますか?」
と聞きました。

学芸員の方は目をちょっと伏せて、
「針聞書のことですね。
常に展示はしていないんですよ」
と答えました。




私は心の中で、膝から崩れ落ちました。



あたし、脾臓の虫に会うためにここに来たのよ…






そのあとの私の落ち込みようったらありませんでした。



まだ見ていない所蔵展の部屋もただ歩いて回るだけ。

ミュージアムショップも「あじっぱ」もただぐるりと回るだけ。

いつもならうきうきするスタンプも
「前は2種類あって、脾臓の虫がでかでかといた図柄があったのに、
今は虫もいないスタンプが1つだけ…」
とけちをつけたり。




私はのろのろと九州国立博物館を出ました。

日が斜めに差し、夕方になっていました。

「故宮博物院」展に入るために並んでいた列はがらがらで、
外はちょっぴり肌寒かったです。









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